(1) 屋根

玉前神社の旧社務所「白寿庵」は、風情のある美しい建物だった。  睦沢町立歴史民俗資料館に収蔵されている「白寿庵」の古い写真(一宮町在住の方から提供)を見ながら、そのすばらしさを紹介する。この写真は南側から見たもの。撮影年月日は、はっきりしたことが判らないが、 1941(昭和16)年ごろに挽屋(ひきや)されて移動したので、これから撮影時期が判るかも知れない。
白寿庵 白寿庵」は屋根が黒く重厚な桟瓦(さんがわら)で葺かれた入母屋造(いりもやづくり)だった。入母屋造は寺社建築によく見られる形式である。屋根の降棟(くだりむね)が漆喰(しっくい)で丁寧に押さえられている。大棟(おおむね)にのる鬼瓦には鬼獣面ではなく何か紋が付いているが、この写真ではよく見えない。鬼瓦の足下(鰭-ひれ-)は、花と流水(りゅうすい)文様である。鬼瓦は横から見る画像にはかなりの厚さがあり、雄大な風情がある。鬼瓦の下には、神社建築によく見られる懸魚(げぎょ)という飾板(かざりいた)が付いている。懸魚は、屋根の切妻(きりづま)部分の合掌部の拝(おがみ)という部分に垂れ下げた装飾的彫刻である。「白寿庵」の懸魚は、3つの部材からなる立派なものだった。屋根の軒下には垂木(たるき)が付き、庇(ひさし)が付いていた。その手前の南庭には、外観とほどよく調和する密度で庭木が植えられ、落ち着いた雰囲気を作っていた。
このように「白寿庵」は残された写真から見るだけでも素晴らしい近代和風建築だった。この「白寿庵」が移築再建されようとしている。当時の風情を再現するには、写真の画像が不可欠なので、「白寿庵」が写った写真をお持ちの方は、ぜひご連絡をお願いしたい。

(2)部屋のページへ移動