玉前神社の門前町として東上総地域の文化経済の中心として発達した一宮町には、江戸~昭和期までの歴史的建物が現存しています。特に玉前神社周辺と門前の商店街に多く見ることができます。

吉村理髪店

吉村理髪店

玉前神社の裏通りに面して建つ。江戸時代からの髪結い床で、現在の当主は5代目にあたる。
大正時代に改築し、当時のモダンな様子を今も留めている。流行に敏感な理容界にあっては貴重な例。店内の壁には当時の料亭などの広告の書かれた大鏡がL字形に配され、舶来の椅子も珍しい。

にんべん(現:赤七屋)

にんべん(赤七屋

玉前神社の鳥居のすぐ前。明治30年頃の建築。元は油や鶏卵などを商っていた店蔵が、平成26年5月より、手作りおでんとカキ氷の店「赤七屋」として営業している。旧寿屋本家の店蔵と非常によく似た構造の店蔵で、同時代に同じ大工によって建築されたとおもわれるが、居住部分は建て替えられ、土蔵の裏には居住部との境であった大扉が残っている。

マルノ商店

玉前神社参道、赤七屋の向かい。用品店を営んでいる。大正3年の建築。奥に長い町屋で元は新朝日という料亭だった。2階には4畳、6畳、8畳の3部屋の客間が並び、各部屋に床間が付いている。階下のトイレは装飾的なタイルが貼られ、料亭だった頃の面影を残して貴重である。見学不可。

魚民

玉前神社参道中程。昭和初期の建築。屋号のとおり元は魚屋だったが現在は空き店舗となっており、地域のイベントなどで活用した折に、太い梁や格子戸、神棚などを見ることができる。

大黒屋

大黒屋

玉前神社門前の商店街で手芸用品店を営む。明治末~大正初期頃の建築。店の奥に住居と蔵を有す。商品が天井まで積まれた店内は昭和の雰囲気を色濃く残しており、稀有なロケーションである。毛糸、ボタンが豊富であり、値段も安い。土曜日曜のみ営業。

旧寿屋本家(きゅうすやほんけ)

寿屋本家外観

明治30年頃の建築と推定される。商店街の中心に位置し、江戸時代から鰹節問屋を営んでいた。店蔵とその奥に続く居住部分が良好な状態で存在しているのは関東でも貴重な例。
店蔵の1階は三和土と框で当時の遺構をよく残している。2階の座敷は重要な客をもてなしたり商談に使われた。当時もっとも裕福な商人の建てた建築であるといえる。建物の奥に、庭、稲荷、土蔵を有している。
写真04寿屋本家外観

加藤商店(本加藤)

本加藤

旧寿屋本家の向かい。旧寿屋本家の鰹節干場だった土地を買い取り大正3年に建築。手芸用品や日用品の店として栄えた。全面がガラスの引き戸になっている店は昭和の雰囲気を残す。建物の奥に釜屋、倉庫、蔵を有す。